経済

10月に1ドル151円に到達したドル円ですが、CPIの結果を受けて現在は1ドル139円台を推移しています。

このまま円高に突入して元の115円台まで戻ってしまうのか、あるいはまた150円台の円安に突入するのかが気になるところですが、今後は余程のことがない限り、1ドル180円を付ける可能性はほぼなくなったと見ています。

そもそも今回の150円の円安についてですが、もともとFRBが0.75%の強力な利上げを何度もしていたにも関わらず、ほとんど効き目があらわれてこないことに対する恐怖感があったものと思います。

これだけ何度もやっているのに効かないともなれば、0.75%よりも強力な利上げをせざるを得ないのではないだろうか、5%ではなく6%、あるいは7%、8%までやらないと今回のインフレは止まらないのではないだろうか、そんなセンチメントが漂っていました。

そのため、この6%や7%あたりをも折り込みつつ長期金利が上昇していたわけですが、10月分のCPIデータがインフレピークアウトの兆候を示すものであったため、6%や7%の可能性がほぼ消えてドルが売られる結果になったのではないか、ぼくはそう考えています。

ただし、仮に12月に利上げ幅を縮小しても利上げ自体は今後も継続されるため、最終的なターミナルレートは現在の4%から上乗せされて5%程度まで達するとの見方が優勢です。

そのように考えますと、現在の長期金利の3.8%については、まだ政策金利の5%を折り込んでいないのではないかとも感じてまして、今後の利上げ継続の発表があったのち、円安も上昇していく余地があるものと感じています。

短期金利と長期金利でいえば、円安に影響を与えやすいのは長期金利と思われます。米国債10年などは長期金利といえますが、日米の金利格差が拡大した場合、為替リスクを吸収できるレベルまでドルが買われるはずですので、長期国債の利回りが上昇すればするほどドル高円安にふれていくことでしょう。

今後、米国政策金利が4%から5%に近づくにつれ、長期国債の利回りも上昇する可能性があるため、円安にふれる可能性も残されています。

ただ、10年米国債は10年の長期であるのに対し、米国政策金利はせいぜい今後数年程度の短期のため、政策金利があがったからといって10年米国債も上昇するとは限りませんが、今後の展開によってはまだ上値の余地があるものと感じています。

米国債はお買い得なのだろうか

先日まで150円程度で推移していたドル円の為替レートですが、CPIの結果を受けてドルが急落し1ドル138円程度まで下落してきています。

ここで気になったのは米国債ですが、今までは為替リスクが大きいため敬遠していたものの、138ドル程度なら円高リスクを考慮に入れても、ある程度は投資冥利が出てきたのかもしれません。

(※2022年11月11日時点)

現時点での政策金利は4%です。

日本の銀行に預けても利息がつかず、来年の株は世界的なリセッションが懸念されているなか、米国債の利回りが3.8%程度で、なおかつ為替リスクも抑えられるようでしたら、そろそろチャンス到来かもしれません。

ただ、政策金利のターミナルレートは5%程度に達すると見られている状況のなか、米国債利回りも4%以上にはなりそうな気もしており、もう少し待った方がよいと思います。

おそらくは、2022年12月に4.5%、1月に4.75%、3月に5%で打ち止めになるのではないでしょうか。

願わくば、為替レートが115円程度、米国債の利回りが4.75%になるのが理想ですが、このまま1ドル120円程度まで下がれば、まずまずといった状況にはなると思います。

米国のインフレがピークを迎えた雰囲気が出てきた状況のなか、6%以上の利回りは期待できなくなりましたが、4%以上は期待できると感じています。

今後、為替レートと米国債の利回りはどのように推移していくのでしょうか、2023年末頃には利下げに転じるとは思いますが、それまでの推移を注視していく予定です。

FOMCを通過し、市場では12月の利上げ幅は0.5%か0.75%、最終的なターミナルレートは5%強でコンセンサスが形成されつつあります。

しかしながら、原油高に注目してきた私としては、最近の下落局面においても原油や天然ガスなどのエネルギー関連は堅調さを維持しており、0.5%の利上げ幅下げの思惑には疑問を感じています。

夏頃までは原油価格と株価は連動していたように感じますが、ここに来てそれほど連動しない動きがみられてきました。

冬からのエネルギー需要増に加え、中国のゼロコロナ政策の見直し、あるいは石油備蓄の玉切れ、地政学的なリスクなど、ふとしたきっかけで再び120ドルを突破してもおかしくありません。いずれ原油高騰の問題が再燃すれば、12月の利上げ幅は0.5%ではなく、0.75%の可能性が高いのではないか、そう感じています。

加えて、0.75を連発してもインフレ抑制の明確な兆候が乏しく、利上げが効いている明確な証拠が乏しいまま見切り発車でペースを下げてしまうリスクは高いです。最終的なゴールポストが5%台に動きましたが、6%台や7%台になる可能性もあるなか、現状のままFRBが0.5に下げることはないと感じています。

果たして、12月は0.5%なのか、それとも0.75%なのか。

直近の米雇用統計は明確な数字は出ませんでしたが、次のCPIは0.5%派に嬉しい数字が出るかもしれず、予断を許さない状況となりつつあります。

ちなみに、0.75%派のぼくとしては、米国株を売りつつ、原油やガス株を買い、中国株は買いのスタンスで行こうと思ってます。

一旦は暴落したかに見えた原油価格ですが、現在は反発して盛り返しており、1バレル110ドル付近で推移しています。

米国のインフレ対策による利上げで景気低迷が避けられなくなり、原油需要が後退するとの懸念から原油価格が下落しています。加えて、7月にはバイデン大統領が中東を訪問する予定となっており、サウジアラビアへ原油の増産を要請することも影響しているかもしれません。

一方で、UAEとサウジアラビアには原油を増産する余力がないとも伝えられており、原油価格が反発する結果になりました。

景気がよくなれば、原油の需要が増えるため、概ね株価と原油価格は連動する傾向にあります。昨今の利上げでリセッションが避けられないとされるなか、今後は原油価格が下落する可能性もあり、中東諸国が増産に応じる可能性は低いのかもしれません。

ただ、多少は増産に応じて大統領の顔を立てるのではないかと思いますが、その際に一旦は下落するのかもしれません。

原油価格の高騰が止まらず、原油ダブルブルが2248円の高値を付けましたが、この上昇過程で既に売却してしまった人も多いかもしれません。

こうなってきますと、逆に原油ベアに関心が移ってしまいますが、そう簡単に上昇トレンドが終了してしまうものでしょうか?

売り物が出なくなった時、さらに暴騰していく傾向があると感じていますが、今までのパターンですと一旦は調整する可能性もあると感じています。

上海の再ロックダウンなど、中国でのコロナの影響が懸念されてはいますが、原油高トレンドが止まる要因はそうあまり多くは見当たりません。

おそらく、この原油高は数年程度、継続してしまう可能性もあると感じています。

また原油高によってインフレが加速して景気が後退するとすれば、日経ダブルインバースも気になるところですが、ここ最近の円安の影響により、逆に日経平均株価は上昇傾向にあるようです。

もし円安トレンドが一服して原油高が高止まりしますと、日経平均株価が下落してしまうのではないかと思います。