経済

パウエル議長が12月の利上げ幅を0.5%に縮小すること示唆したことで米国株が上昇しています。ただし、ターミナルレートは以前の水準よりも幾分かは高くなるとのことです。

そのため、12月は0.5%で合計4.5%、さらに2月と3月に何%かを上げて、合計で約5%前後となる可能性が高くなってきました。そうしますと、2月と3月でそれぞれ0.25%、合計で5%あたりで打ち止めとなることが想定されています。

ただ、今まで強烈な0.75%を4回連続継続してきたのに、12月に0.5%を1回だけやり、すぐに0.25%まで落とすのでしょうか。

謎は深まるばかりですが、現時点で出ている情報を総合しますと以下のようになるかと思われます。

12月0.5%、2月0.25%、3月0.25%、合計5%

過去の事例でみてみますと、概ねアゲアゲで利上げをしていき、ある程度の水準まで達したらそのレベルをキープしてヨコヨコのパターンになることが多いように思われます。

そのため、台形のような図形になりますが、今回は0.75%からいきなり打ち止めになるのではなく、0.5%をはさむため、角に丸みを帯びた台形になるのかもしれません。

その後の利下げについては、2006年から2007年の場合は1年間ほどキープしていましたし、1995年の場合は5年間ほどキープしていましたので、すぐに利下げになる可能性は低いものと思います。

その場合の米国債10年利回りについては、概ね、政策金利よりもワンテンポはやくピークアウトする傾向があるかもしれません。ただ、2006年などはターミナルレートに達した時点でピークアウトしたケースもあり、円安がこれで終了となるのか、まだ不明な部分が多いように感じています。

概ね、政策金利が5%に達した場合、長期金利も5%付近がピークになる傾向があるものと感じています。

政策金利の上昇スピードが非常に速いため、もしかしますと、ターミナルレートははるか上まで延長される可能性もありますが、FRBでもはっきりしたことはデータを見ないと分からないようで、誰にも予想はできません。

もともとFRBはインフレは一時的との見解でしたが、結果的にはズルズルと来ましたので、また原油価格の高騰などでズルズルと小幅の利上げを繰りかえして上昇していきそうな印象もあります。

その点、最悪なシナリオではズルズルを繰り返して手に負えなくなる可能性もありますが、過去と比較すると0.5%でもかなり急速な利上げにはなるので、利上げ幅の縮小は妥当なところではないかなと感じています。

ニューヨーク連銀総裁が講演し、インフレ率が今年末には5.0─5.5%、来年は3.0─3.5%に緩和すると発表したようです。

ただ、11月発表の10月分のCPIは8.2%から7.7%に0.5%減少しており、このペースだと12月で6.7%ぐらいにしかなりません。

一方、コアCPIの場合ですと6.6%から6.3%に0.3%減少したため、このペースですと12月には5.7%に到達するため、おそらく総裁はコアCPIのことを言っているのかなと感じています。

ウィリアムズ総裁の5.0─5.5%の場合、0.4%~0.6%づつの下落ペースということになりますが、コアCPIはしぶとい印象があるので、そこまで下がるのかについては疑問を感じています。

仮に0.4%づつの減少を半年間としますと、おおよそ3.0─3.5%に近づく形になるかもしれませんが、「FRBはおそらく2024年に利下げに着手する」とのコメントがありましたので、利下げはかなり先になるものと思われます。

賃金や家賃などはそう簡単には下がらないかと思いますので、1年程度は時間がかかるのかもしれません。

いずれにしましても12月13日のCPIの数字に注目が集まりますが、コアCPIがそれほど下がらず、利上げ幅の縮小中止で0.75%継続となった場合、株価の雲行きはあやしくなってくるものと思われます。

2022年12月のCPIを予想

次回のCPIは「on December 13, 2022, at 8:30 A.M. Eastern Time.」とのことで、あと3週間ぐらいとなりました。

前回までのCPIのデータはこちらのホームページで公開されています。

CPIホームページ

前回は予想が8.0%(前年比)に対して7.7%の結果となっており、8.2%から7.7%に大幅に下落しています。

12月のCPIは雰囲気的には7.2%程度の数字もありえると思いますが、おそらくは7.2~7.6あたり、もしくは7%台後半の数字を予測しています。

この状況ですと、8%台や6%台はないと感じており、おそらくは7%台半ばの数字が出てくると考えています。

仮に7.4%あたりとしますと、12月の利上げ幅は0.5%に下がりそうな気もしますが、万一、7.7%より上になった場合には利上げ0.75%継続の可能性もあるかもしれません。その場合は、ドル高が継続して株価が下がってしまう可能性もあります。

ただ、FRBは2%?を目指しているらしく、はたしてこの数字は達成できるのでしょうか、かなり時間がかかりそうな気がしてますが、真剣に2%を考えているのでしたら、0.75の可能性もあるものと思います。

概ね、12月に0.5、来年1月にも0.5、3月に0.25でコミコミ5.25%あたりで打ち止めになりそうな予感がしています。

万一、12月に0.75となった場合、来年1月に0.5、3月に0.25で5.5%の可能性も出てきますが、いずれにしてもCPIのデータ次第になると思われます。

最近のトレンドは円高傾向ですが、Googleトレンドでは11月11日にピークをつけたのち、徐々に関心度が落ちてきています。

140円を切ったのち、このまま120円まで下落して終了かと思いきや、再び円安方向にふれてきたため、人々の興味がなくなってしまったのかもしれません。

これまでの円高チャートを確認してみますと、100~75ポイントあたりでピークをつけたのち、42~43ポイントあたりまで下落しています。

それなら逆に円安に関心が出てきたのかでいえば、こちらも関心度が低下している傾向にあります。

依然として1ドル140円を超えているため、冷静に考えると円安ではあるものの、関心が薄いようで、既に損切りして他に移動してしまった人が多いのかもしれません。前回は25ポイントあたりで人気度が反発してきましたが、今後もここらで巻き返しがあるのか興味深いところです。

これらの点から考えますに、過熱感がない状態のまま円安トレンドが徐々に進行しはじめてきているといえます。

今後の展開としましては、過去の例を参考にしますと、円高のグーグルトレンドが43ポイントあたりまで下落したあたりで、今回の円安がピークアウトするのではないか、そう感じています。

ただ、円安といえばドル高ですので、ドルも上昇してきているのかといえば、先日のドルの急落で損切りしたい人がいるのか、上値は重いように感じています。

市場では12月のFOMCで利上げ幅の縮小が意識されていますが、0.5%派が優勢なものの、まだかろうじて0.75%の可能性も残されています。

議決権のある委員のコメントを拾ってみますと、タカ派の発言が多いと感じますが、概ね0.5%でほぼ決まった印象を受けます。

・ブラード総裁(セントルイス連銀)
5-5.25%ということになろう。それは最低水準だ。」

・ジョージ総裁(カンザスシティ連銀)
「FRBが来年の利上げペースを25ベーシスポイントに鈍化させることは理にかなっている」

・メスター総裁(クリーブランド連銀)
「引き締め幅が小さ過ぎるリスクの方が大きいと私は現時点でみている」

・コリンズ総裁(ボストン連銀)
「0.75%利上げなお選択肢」

・ウィリアムズ総裁(ニューヨーク連銀)
「金融当局は利上げを進めるに当たり、あくまで経済目標に集中し、金融安定性リスクをも考慮に入れることは避けるべきだ」

FRBは不必要に市場を混乱させるようなことはしないと思いますので、CPIで悪い数字が出ない限りは0.5%でほぼ確定とみてもよいでしょう。

しかしながら、もしCPIで悪い数字が出た場合、0.75%利上げが意識されて再び1ドル150円、160円も視野に入ってくるかもしれません。

現在、1ドル142円程度となっていますが、またまたゾンビのように円安が蘇ってきています。

おそらく、12月、もしくは来年1月には再び1ドル150円に到達する可能性もあると感じています。万一、12月に0.75%の利上げとなった場合、利上げが底なしの様相を呈して1ドル160円、170円に到達してくるかもしれません。

そういった意味で、次回のCPIは非常に重要になってくるものと思われます。