経済

エボラ熱に浮かされた東証市場

米国の統計指標悪化の影響を受け、NYダウが大幅な下落しており、それにつられる形で東証も値を下げてきています。そのなかでエボラ関連株に短期資金が集中してきておりますが、関連しそうにない企業も買われたりしており、総じてバイオ関連銘柄の人気が高まっているもようです。

アフリカで生死の間をさまよっている大勢の患者がいて、命がけで治療にあたっている医療関係者がいる一方、エボラ関連株で莫大な収益を得ている人もいたりして、多少の違和感を感じたりもしております。

つまり、誰もがエボラ熱の終息を願っている人たちばかりではなく、さらなる感染と拡大を願っている人たちが実に大勢いるのだという現実を感じさせられます。資産を2倍、3倍にした株主からみれば、さらに感染が拡大して、資産を10倍、100倍になって欲しいと願っている人が大勢いるわけです。

一番の懸念につきましては、心のなかで思っているだけならまだしも、実際に行動に移す人がいるのではないか?という点です。

感染の拡大がはやいといいますか、アメリカ国内への侵入がいとも簡単だったという点が最大の疑問点です。エボラなだけに、防護体制がズボラだったとかいわれておりますが、看護師への感染をなぜ、いとも簡単に許してしまったのか、これは専門機関のCDCにしてはまるで素人レベルの対応でした。

しかも、新たに2次感染が確認されており、看護にあたっていた看護師が発熱していたにも関わらず、飛行機に搭乗していたという事態が発生しております。

通常、エボラ感染者の治療は厳戒態勢で望むはずですので、完全に収束するまでは隔離した病棟で治療にあたるのが誰もが考える当然の対応ではないかと思われます。

それがなぜ、熱があるのに、こともあろうに飛行機なんかに乗っちゃっているのか?
しかも、なぜ132人に3次感染の懸念が出るなどの事態になってしまっているのか?

cdcは映画で見るような専門家とのギャップがあまりにもありすぎて、これはわざとやってるの?といいたくなってしまうレベルです。いずれにしても、今後、事態の収束までには、ある程度の時間がかかるような気がしております。

実質GDPが大幅な落ち込み

消費税増税による駆け込み需要の反動減で、4月~6月の実質GDPが大幅に落ち込んできています。個人消費が5%減に対し、民間在庫数が1.3%増加していますので、消費税増税の消費の落ち込みを企業が過少評価していたものと考えられます。

ただ、株価はそれほど減少しておらず、あまり影響を受けていないようにも思えます。 おそらく、消費税の増税を10%に上げるまでは、年金資金などを使って株価の下落を抑えていくのではないでしょうか。

企業の設備投資が低下している点を考えますと、企業業績の回復はあまり見込めないかもしれません。加えて、企業業績の回復が見込めないとなると、賃金の上昇も見込めませんので、結果として消費も冷え込んでいくものと思われます。

さらに、ここにきて消費税10%が予定されています。これで税収が増えればまだいいものの、消費自体が冷え込んでいる分、税収はあまり伸びてはいかないような気がしております。また、大企業の法人税減税も予定されていますので、税収不足に拍車がかかってしまうような気がしております。

当初、消費税増税による反動は軽微なものと言われておりましたし、また、実感としてもあまり影響がなかったような感じもありましたが、実際の数字を確認してみますと、かなりネガティブな状況と言わざるを得なくなってしまいました。
今月からはじまったいきなりの円安相場ですが、日本では円がじゃぶじゃぶなのに対し、米国では好景気から利上げムードが漂っていることが原因のようです。加えて、ここ1年ほどの間、105円を突破することができずにいた外国為替相場ですが、とりあえずは105年を突破し、110円を目指している最中だろうと思われます。

ただ、グローバル化した国際経済において、もはや円安が企業に利益をもたらすわけではありません。民主党政権下で円高が続いておりましたが、日本企業は何年もかけて円高でも利益が出るような体制に順応してきたわけです。

そのため、自民党政権になり、円安が進むにつれ、急速に業績が悪化してしまった企業もなかには見受けられます。資材の調達や工場の生産拠点などは、数年単位でないと対応できないため、急に円安が進んだからといって、すぐに円安体制に移行できるわけではなく、やはり数年単位での期間が必要になります。

また、円安になったからといって、数年がかりで円安で利益が出る体制を整えたと思ったら、また円高になってしまったということになれば、踏んだりけったりです。

なので、おそらくは数年をかけて少しずつ1ドル120円程度を目指していくのではないだろうかと僕は想定しております。ただ、すでに円が異次元のじゃぶじゃぶ状態になっておりますので、その結果が異次元の結末をもたらすとすれば、1ドル130円を超えてくるかもしれません。

単純に考えれば、マネーサプライを倍増させると円の価値が半分になるはずですので、円安がもっと続いていく可能性も考えられます。

円安が進むと輸出関連企業の業績がよくなるといわれていますが、これ以上の円安は逆にデメリットになる可能性もあるわけですので、ここは視点をかえて、FX関連銘柄などを探ってみるのも面白いかもしれません。為替が動けば、FXの取引量も増大するはずですので、FX関連企業の業績が上向く可能性もあります。

現在、日本のエネルギー事情は化石燃料に依存している状況にありますが、地球温暖化の影響を考えると、できるだけ早期に再生可能エネルギーへの転換を目指さなくてはいけません。民主党時代には温室効果ガス25%削減を掲げ、原発停止などの影響により撤回する形にはなってはいますが、今後の日本の重要な課題といっても過言ではないでしょう。

この温室効果ガス削減に重要な役割を果たすのが原子力発電といえます。太陽光発電などのエネルギー政策も進められてはおりますが、火力や原子力と比較すると1%にも満たない割合しかありませんので、現実的に考えれば、原発の再稼働をするより他がない状況かと思われます。

ノーベル平和賞の受賞者であり、アメリカの副大統領を務めたアル・ゴア氏の「不都合な真実」によると、地球温暖化の影響で「近い将来海水準が最大20フィート上昇する可能性がある」と主張しています。これにより、世界の主要都市がほぼ水没してしまい、日本にも壊滅的な影響を与えるという意見の人もいます。

このアル・ゴア氏の「不都合な真実」の主張については、懐疑的な見方の人も多いですが、いずれにしても、化石燃料に頼ったエネルギー政策からは転換しなくてはいけなくなってきております。

結局、太陽光などが普及するまでは、当面、原発を動かすより他ない状況になってきており、いずれ原発の再稼働がされると考えてもよいでしょう。

現在のところ、再稼働の有力候補として、九州電力の川内、玄海、関西電力の大飯、高浜、四国電力の伊予、北海道電力の泊の各原発が候補に挙がっております。

このうち、優先審査されていた川内原発がほぼ審査通過の見通しが立っている状況ですので、はやければ、2014年の7月か8月にも再稼働される予定ではありますが、その他の審査はあまり進んでおりません。

関西の大飯原発は地震対策で2014年中の再稼働は厳しくなってきておりますし、四国の伊予原発につきましても、3月14日に最大震度5強を観測した伊予灘地震がおきたばかりです。また、原発自体もある程度の年数がたっているものです。

この点、泊原発の3号機については、2009年運転開始の新しいタイプのものですので、次の優先審査はこちらになるのかなと思っておりましたが、追加工事の影響でまだ見通しがたっていないようです。優先審査2号は、もうそろそろ決まってもよさそうな時期に入ってきました。

【再稼働の有力候補】

・川内(1、2号基)→ ゴール間近?

・玄海(3、4号基)→ 九州電力でワン・ツーか?
・泊(3号基)→ 追加工事?
・高浜(3、4号基)→ ?
・伊方(3号機)→ 伊予灘地震で難あり?

大飯(3、4号基)→ 脱落か?

明日の16日、クリミア自治共和国にて住民投票が行われます。これに伴い、ロシアへの編入を支持するプーチン大統領と米・西欧諸国との間での対立が生じ、緊張が長期化しそうな様相を呈してきています。

投票結果でロシア編入が可決されることがほぼ確実ですが、このプロセスに法的な根拠がありません。仮に可決されたとしても西欧諸国の同意を得ることは難しく、ロシアへの経済制裁が発動されることになるはずです。それに対しロシアからも報復がなされる結果となれば、事態が深刻化する可能性もでてきました。

市場の反応としましてはロシアのルーブルが1ドル33ルーブルから36ルーブルへと大幅に下落し、株価も下落しています。また、NYダウ、日経平均ともに急落、世界同時株安の状況となっていますが、比較的安全性の高い円が買われた結果として円高が進んだこのにより、日経平均株価の下落幅が他の市場よりも大きくなっています。

今後の展開としましては、プーチン大統領がここまで強硬ともいえる姿勢を見せている以上、そう簡単に引くことは考えられません。すでに経済的な損失を生じていますし、クリミアはロシアにとって重要な意味を持つ地域ですので覚悟を持って臨んでいることでしょう。

おそらく、クリミアがロシアへと編入され、西欧諸国が経済制裁を実行するという形になるかと思われますが、そうなると問題がかなり長期化してしまうかもしれません。

ただ、クリミア問題が世界経済へ与える影響は限定的との見方が一般的で、来週の月曜日がブラックマンデーとなる可能性は低いものと思われます。けれども、クリミア地域でロシアと欧米諸国との間で過剰な反応がなければ、一旦は反発する可能性も高いでしょう。