消費増税の影響により、内需の落ち込みが回復せず、2014年のGDPは0.03%減のマイナス成長になりました。震災以来、3年ぶりのマイナス成長となっています。
直近、2014年10-12月期のGDPは0.4%増となっておりますので、徐々に回復基調とはなってきておりますが、増税の影響がまだ出尽くしていない状況にあるため、2015年も低調に推移していくことが予測されております。
この春からサントリのウイスキーが値上げされる予定となっておりますし、円安と消費増税の影響により、この春に値上げされる商品も多くなってくるかもしれません。
2年前、アベノミクスで世界中から拍手喝采されていたものですが、ふたを開けてみれば、まさかのマイナス成長...。私も株高で浮かれていたクチですが、「こんなはずじゃなかった...。」というのが正直なキモチです。
致命的だったのは消費税をいっきに10%へ上げなかったことではないでしょうか。一度に10%へ上げていたら、悪材料出尽くしで回復がはやかった可能性もありますが、いずれ来る消費税増税への懸念のためか、消費しようという気持ちにはなれず、生活防衛体制をとっている消費者が多いように思えます。
それでも、増税を上回るペースで実質賃金が増えていれば問題ありません。この春の春闘ではきっと、各業界で賃上げ、ベースアップのラッシュが生じ、2015年はプラス成長になってくれるはずと信じております。
信じるキモチと不安とが交錯するなか、2015年春闘の時期を迎えることになりそうです。以前の橋本政権下の消費増税時には、翌年のGDPが大幅に下がった記憶がありますが、今年はアベノミクスで回避できるのでしょうか、今後もGDPのゆくえには注視していきたいと思います。
日本でフィンテックといえば、東証マザーズ上場のフィンテックグローバルが検索でヒットするようです。これはムーミン関連銘柄として注目されている低位株ですが、これとは別に、中小企業の金融ベンチャーとして、フィンテック(FinTec)という概念が今注目を集めています。
この「FinTec」というのは、FinanceとTechnologyを掛け合わせたものですが、米国では金融業界を革新していく分野として注目されています。
私が最近注目しているのはマネーフォワードという会社ですが、資産管理ソフトやクラウドタイプの会計ソフトで人気になっており、金融とIT技術との融合により、会計処理や資産管理の効率化が可能になっています。
金融機関と連携することで、会計処理の半自動化が可能になったり、あるいはクレジットカードや銀行口座との連携により、個人資産の総合的な管理ができます。
ほかにも、指紋認証だけで決済が可能になるリキッドという会社の技術も注目を集めており、将来的には買い物の決済の際、クレジットカードの提示が必要なくなる時代がくるかもしれません。実際、すでに1部の店舗では指紋認証による決済が開始されており、お金もクレジットカードも、財布さえもたずに、指さえあれば買い物できる時代になっていくはずです。
このような、金融関係でのベンチャーとしてのFinTecは、欧米と比べ、日本ではまだまだ遅れているようですが、今後は注目されていく分野になるでしょう。
国や金融機関が主導して、FinTec関連のアイディアコンテストなども多数開催されているようですので、今後はこの分野からベンチャー企業が多数出てくるのではないかと考えております。
スカイマークが急進しておりますが、民事再生法の負債総額が約710億円となっているもようです。これにエアバスの違約金がどこまでいくのかが注目されていますが、最大で7億ドルといわれており、こちらは含まれていないようです。
それに対して、直近のスカイマークの貸借対照表ではそれほどめぼしい資産がなく、そこからどの程度減っているのかは不明ですが、先月の1月28日の時点での手元資金が約3億円しか残っていなかったとの報道がされており、カツカツ状態で民事再生法の申請をしたのだろうと思われます。
貸借対照表上での負債額と民事再生法の申告時の負債総額にけっこうな違いがあるのが気になりますが、よくわかりませんでした。
JALの会社更生法の時、マイレージとかは保護されたようなのですが、スカイマークの場合はどのちみマイルレージシステムがなかったようなので、普通の人は特に請求する債権などはないと思います。
前社長個人からも7億円ほど貸し付けているようなのですが、力及ばずといったところでしょうか、エアバスの違約金なんかもあり、今後はどんか感じで折り合いをつけるのかが注目されています。
ただ、このエアバス機購入の判断が前社長の経営判断ミスとするならば、かなり致命的なミスだったように感じられます。キャンセルしての違約金なわけですので、何百億円もどぶに捨てたようなものです。どうせなら、買ってから売った方がよかったのでは?とも思うのですが、オーダーメイドのようなので、エアバスも困惑してるのかもしれません。
社長個人が当初に出資した分とかを含めましても、ワンマン経営の感がいなめません。
債権者も株主も含めて痛み分けといった形になると思いますが、大株主の割合をみても、ちょっと難しいかなという気がしております。
今後は第3極の成り手さがしということになると思いますが、火中の栗を拾うのはだれか?注目が集まってきているようです。個人的には、自動車会社とか、安全性に定評のある会社に参加してもらいたいものですが、球団を買うような感じで、IT会社とか、ゲーム会社とかが参入すると乗るのはちょっとこわいです。
永世中立国の安全通貨として人気の高いフランが急騰しております。スイス中央銀行が上限を撤廃すると発表したことで、1ユーロ=0.85スイスフラン、対円では1フラン138円まで上昇してきているもようです。
日本は円安にやっきになっている状況のなか、あえてフラン高の政策をとるのは解せない気もしますが、これ以上、フラン高を抑えることはできないと判断したようです。度重なる為替介入でスイスの外貨準備高がGDPの7割以上にまで膨らんできており、欧州中央銀行の量的緩和も懸念されるなか、いずれは持ちこたえられなくなると判断したもようです。
このような不安定な状況のなか、同じ安定通貨として人気の高い円も買われる結果となっており、日経平均株価は下落してしまう形になりました。
このフラン高により、スイスの輸出企業の業績は悪化していくものと思われますが、日本でも高級時計などが高騰してしまう結果になるかもしれません。
ちょうどロレックスとか、オメガとか買おうと思っていたのですが、今のうちに買っておいた方がよいのでしょうか?今のところ、目立った値動きはないようですが、今後の展開が注目されるところです。
また、FX業者も大きな影響を受けております。莫大な損失を出してしまった投資家もいるようで、資産のすべてを失った上、さらに追証も払えずに借金も発生してしまった方も多いように思われます。
証券会社がこの借金を回収できない事態も想定されており、投資家のみならず、FX業者も閉鎖に追い込まれる事態が生じてきております。日本でもそのようなケースがあるのかは不明ですが、のっぴきならない状態に陥ってしまった人も、日本には何人かはいるものと思われます。
中央銀行が投資家の裏をかいた形になってしまいましたが、そのインパクトはあまりに大きなものになってしまいました。
ただ、世界経済に占めるスイスの規模自体はそれほど大きくはないので、アメリカリーマンショックのような事態にはならないものと思われますが、金融経済に与えるインパクトがどこまで波及するのかは不透明な状況となっております。
消費税導入により、企業収益は改善していると言われておりますが、原材料を輸入している中小企業の場合はかなり厳しい状況が続いております。
一番大きな要因は円安ということになりますが、原材料を輸入し、それを加工して大企業に納品するという中小企業が多いかと思いますので、円安で原材料費が大幅に上がってしまったら、利益がほとんど出なくなってしまうのは必然といえます。
例えば、民主党政権下の円高の状況では、1ドル80円台だったわけですので、100万ドルで原材料を輸入しても8000万円で済んでいました。けれども、現在は1ドル110円前後になっていますので、1億1千万円にまで原材料費が跳ね上がり、大幅なコスト増になってしまうわけです。
そして、出来た製品や部品をそのままの価格で大企業に納品し、大企業の方ではそれらの半製品を最終的な完成品に組み立てて輸出するわけですが、大企業は同じ100万ドルで販売するにしても、以前までは8000万円にしかならなかったものが、現在では1億1千万円で売れるというホクホクの状態になっているわけです。
テレビやパソコン、あるいはカメラや自動車などを製造している大企業は、無数の中小企業が製造した半製品を集めて組み立てて商品化しているわけですので、大部分の中小企業は打撃を受けているのに対し、儲かるのは1部の輸出関連の大企業だけといえます。
そして、その大企業に焦点をあてて平均賃金を割出し、その数字を元に公務員の給与も上げている、それが現在のアベノミクスの状況といえるものと考えられます。
いわゆる「トリクルダウン」という考え方がありますが、現在の日本の経済構造でトリクルするには、大企業が儲かった分の利益を、中小企業の半製品の購入価格に転嫁しない限りはトリクルしないはずです。
けれども、儲かった分、それは内部留保に回ってしまうわけですから、トリクルダウンは発生しないものと私は考えております。これが円安ではなく、生産量が増大することによっての企業収益の増大ということならば、中小企業への発注量が増えることによるトリクルも可能性はあります。
けれども、実態でいえば、円安による要因が大きいですので、どこまでトリクルするのかについては不透明な部分が大きいです。これらを踏まえて、来年、2015年度の日本経済を占ってみますに、これ以上の円安が進んだ場合の中小企業への影響がどこまで出てくるのかに焦点が集まっていくものと思われます。