経済

原油安と円高、そして中国経済の先行き不透明の影響を受け、日経平均株価が下落しておりますが、なかでも中国経済の不調が最大の要因になると思います。

一方では原油安の影響も無視することはできません。米国シェール革命により、原油価格が下落している側面もありますが、中国経済が不調になることにより石油の需要も減少しますので、原油安と中国経済は密接な関係にあると考えてもよいでしょう。

中国経済が先細りするにつれ、供給が過剰となり、原油価格も下落する方向へ向かいますので、当面は中国経済の先行きに注目が集まるものと思われます。一方で中国バブルの崩壊はまだはじまったばかりとも言えますので、見通しはあまり明るくはありません。

また、自動車産業においては、電気自動車や水素自動車などの技術革新が進んできておりますので、将来的にはガソリンの需要が減少して供給過剰になるものと思われます。今後も長期的なトレンドは原油安でしばらくは変わらないはずです。

この原油安により、一時的にはリスクオフで円が買われて円高になり、円高に連動して株安になるとは思いますが、長期的にはコスト削減による企業業績の回復に貢献されるため、株価にはプラスの方向へ働くものとボクは考えております。

1バレル30ドルを割れ、20ドル台へと突入しておりますが、この傾向は今後も継続すると考えられており、おそらくは1バレル10ドル台になる日も近いかもしれません。

エネルギー資源を海外に頼っている日本にとっては、原油安はプラスの方向へ向かうはずですので、日経平均株価はどこかで反転する可能性も高いですが、オイルマネーが円やドルへ向かうとすると円高がどこまで進むのか、このあたりにも注目が集まってきています。

気になるのは、年金資金が引き上げられるのか否かという点ですが、投入された年金資金が損切されるとなると株価の下落はしばらくの間は継続する可能性が高いかもしれません。

FOMCの利上げによる為替の行方

先日の12月のFOMCにて、ついに0.25%の利上げが決定されました。リーマンショック時の2008年12月末以来、ゼロ金利政策が解除されており、今後は金融緩和政策からの転換が予想されています。

足元の米国経済は好調ですし、雇用環境も好調、また2%の物価上昇率を確保できるとの見通しから利上げに踏み切ったもようです。ただし、今後の利上げは緩やかなものになると見られており、徐々に引き上げていくことが予想されています。

気になるのは株価の動きですが、現在のところ、ニューヨークも東京市場も上昇に転じているようです。けれども、米国の利上げということは、米国へ資金が戻っていくことを意味していますので、新興市場からの資金が流出することが懸念されています。現在のところ、新興市場に配慮された利上げだったため、特に目だった混乱は生じておりませんが、いずれは新興市場からの資金は流出していくものと考えられています。

一方で日本株ですが、今回の利上げにより、円が売られてドルが買われる流れになれば、もしかすると円安という流れになるのかもしれません。なかには円高を予測している人もいますが、概ね、為替は円安に振れるという見方をされている人が多いようです。

となると、日経平均株価は上昇に転ずる可能性が高いですが、原油価格や中国経済の動向など、不確定要素が多いというのが実際のところかと思います。当面の間、125円~130円程度で推移していくものと思われますが、これに伴い、日経平均も2万円を超えてくる可能性が高くなってきました。

今年7~9月期の実質GDPが前期比で-0.2%だったため、年率換算で0.8%減のマイナス成長の結果になりました。個人消費の伸び悩みが顕在化した結果となっています。また、中国経済のバブル崩壊が懸念されているなか、輸出の回復にも目途がたっておらず、減速が鮮明となってきております。

加えて、リフレ派のクルーグマン氏も自説を撤回してしまいましたが、アベノミクスの行方に暗雲が立ち込める結果になったといってもよいでしょう。

一方、アメリカのGDPは情報修正されており、+2.1%という結果になっています。これにより、FRBの利上げ判断を後押しするとの見方も出てきており、資本の流れがアメリカへ移行するような懸念も出始めてきました。

結局、アベノミクスの円安により、大企業の収益は大幅に改善して株価が上昇したものの、資本家である株主の利益が向上しただけで、労働者の賃金には反映されなかったといえます。労働者は円安によるコスト増で消費を抑える傾向があり、さらなる消費税増税なども控えているため、消費するような状況にはなく、景気が回復しないという結果になってしまいました。

今後も社会保障費の増大により、次々に増税が予定されておりますが、さらに消費が冷え込む可能性が出てきており、日本経済は長期的な不況に陥ってしまう可能性も出てきております。

特に、団塊の世代が80代を迎える今後10年程度でさらなる社会保障費の増大が予測されており、現役世代がどこまでの増税に耐えられるのかが焦点になっていくことでしょう。

ヨーロッパと中国での金融政策を受け、世界的な金融緩和の流れが出てきておりますが、これにより日経平均株価も上昇してきているようです。加えて、円安にもふれてきておりますが、今週からはじまるFOMCと30日の日銀金融政策決定会合の動向に注目が集まってきています。

ただ、直近では日経平均株価が回復基調にありますし、円安にもふれてきていることから、日銀がここで追加緩和にはタイミングが悪いということもあり、市場関係者の間では今回の追加緩和はないだろうという観測が強まっているようです。

ここで奥の手を使ってしまえば、このあとに株価が低迷した際に切れるカードを失ってしまいます。中国経済の動向や今後に控えている消費税の増税など、いずれ切らなければならないタイミングが出てくることは予測されますので、それまで温存しておくのではないかという意見が多くなってきています。

一方で、チャート的には、日銀の追加金融緩和がなければ市場の失望を招き、このまま日経平均株価は下落基調に入ってしまう可能性が高いです。世界的な金融緩和の流れというのは、逆をいえば、世界的な景気減退の局面に入ったということを意味していますので、チャートでいえば、何もしなければ株価が下落してしまう状況にあるといえます。

とはいえ、世界的な金融緩和の流れになっていますので、日銀が追加緩和を見送ったからといって売り込むにもやりずらい面もあり、株価の下落は限定的なものに留まるだろうというコンセンサスも市場関係者の間で生じつつあります。

30日の日銀の追加緩和はあるのか、それともないのか。世界中の市場関係者の間で注目が集まってきてます。

9月の貿易収支は大方の予想に反して1,145億円赤字の結果になりました。これで6ヶ月連続の赤字となっていますが、輸出自体は13ヶ月連続の増加が継続しています。この赤字の原因は、中国向け輸出が予想を反して低迷しており、中国の動向へ注目が集まっています。前年の5兆4,585億円の赤字からは大幅に縮小しており、円安をもとに貿易収支の黒字化は時間の問題との見方も強まってきました。

一方で、ここ数年の間に大幅な円安へと振れておりますが、未だに貿易収支が黒字化していないのは、経済活動のグローバル化に伴う海外移転が進んでいるためと見られています。拠点を海外に移しているため、円安になったとしても、以前のように大幅な輸出の増加は見込めません。急激な円安により、かえって企業業績が悪化することもあります。

また、少子高齢化社会の到来により、輸入依存型の経済になるとの見方が強まってきております。このまま貿易赤字が増加していくと、貿易の支払いのために円を売りドルを買う形になり、さらに円安ドル高が強まるとの予測もでてきております。

政府がどのレベルでの円安ドル高を見込んでいるのかは様々な予測が飛び交っておりますが、今後の中国経済の行方によっては、再び円高へ振れる可能性も出てきております。中国経済のゆくえに注目が集まってきました。