GW直前に円高が急伸したのはなぜか?

ゴールデンウィーク直前に円高が急伸しましたが、直近の1ドル111円台後半から1ドル106円台へとわずか数日で5円程度の円高になっています。

一説には、4月22日付けブルームバーグの「日銀:金融機関への貸し出しにもマイナス金利を検討-関係者 - Bloomberg」の記事が誤解を生じる形で海外にて報道されたことが要因といわれています。結局、日銀は知らぬ存ぜぬ、「現時点では考えていない」と の回答だったので急激な円高につながっていますが、ゴールデンウィークを前にタイミングが良すぎると感じたのは僕だけでしょうか。

以前からゴールデンウィーク中に為替が急激に変化すると感じておりましたが、今回も非常にあやしい動きだったと感じました。

どだい金融機関への貸出にもマイナス金利をつけたとしたら、世論がだまってはいないはずです。本来、マイナス金利で日銀に預けておいても損になるから、企業や個人に貸し出して社会に回しなさいよというのが趣旨だったはずです。それなのに銀行への貸し出しにもマイナス金利をつけるとすれば、日銀から借りるだけで儲かるわけですから、あえて民間企業に貸し出すようなリスクをしなくても経営が安泰となり、企業への貸出業務などはしなくなるはずです。

単なる日銀から銀行へのお小遣いとなってしまうので、もし導入するとなれば、善良な市民からの猛反発が予測されます。

一方で、欧州中央銀行では、金融機関の貸出実績に応じてマイナス金利を導入するという決定がなされているため、まったくの非現実的なお話というわけでもありません。実例がある以上、ひょっとするとあるかもしれないが、でもほぼないだろうという思惑が錯綜する形で円安になっていきましたが、結局は日銀のゼロ回答で急激な円高に振れた結果になっています。

疑問なのは、「BOJ Officials said」などと海外メディアを検索してみれば出てきますが、上記の記事をそのまま翻訳してしまうと日銀が検討しているように見えてしまうことです。結果として、日銀は「現時点では考えていない」 とのことだったので記事の内容はデタラメだったことになってしまいます。記事では「検討」と書いてあったのに、当の日銀は「現時点では考えていない」という回答だったため、悪く言えば、デタラメだったのかという気がしてしょうがありません。

これをたまたまというには、GW直前の時期でタイミングが良すぎます。意図的に誤解を生む形での報道だったのではないかという気もしますが、いずれにしても、連休明けの日経平均株価は下落基調が続くことになりそうです。