ギリシャ債務問題にはもううんざりだ

ギリシャのツィプラス首相は27日、債権者集団との財政再建策の受け入れ交渉を巡り、7月5日に国民投票を実施することになりましたが、ギリギリの土壇場になってこのような方針を出すことに、ヨーロッパ各国はほとほと呆れ果ててきております。

現実を見れば、ギリシャ国民は財政再建策を受け入れるほかありませんが、おそらくは国民投票で拒否を投じる市民も出てくるはずですので、ユーロ圏離脱も現実味を帯びてきております。もし拒否票が上回れば、ギリシャは衆愚政治の典型となってしまうことでしょう。

古代ギリシャでもアテナイ人の衆愚政治がありましたが、国民に何かを決めさせるべきではありません。プラトンがいうように、1部の賢人による哲人政冶をしけばよいのですが、ツィプラス首相にはその器がないような気がいたします。

今後の予定としては、30日にIMFへの約2000億円の返済がありますが、これは現実的に履行されないはずですので、この時点でおそらくは、実質的なデフォルト状態に陥るものと思われます。

今後の主なスケジュールは以下のようになっています。

6月30日 IMF 約2000億円(国庫には金がない)
7月5日 国民投票(改革案の受け入れ是非を問う)
7月20日 ECB 約4700億円

ただ、30日以降、7月5日までの国民投票の間、ある程度の時間がありますので、この間に預金封鎖や何やらの事態が生じてくれば、ギリシャ市民もさすがに現実を受け入れざるを得ない状況になるものと思われます。

これはおそらく、今後の緊縮財政への不満の影響を考え、政府主導ではなく、国民が自ら決定したという既成事実を作る為のものと思いますが、もっとはやくにやっておいて欲しかったです。円高懸念で間接的には日本の株価も下落しておりますので、正直、迷惑この上ないです。

ただ、金額自体は2000億円程度ですので、個人でもそのレベルの資産を持っている人は世界中にたくさんいますので、世界経済に与える影響はほとんどないものと思われます。

それほど心配する必要はないものと思われますが、中国市場の様子も微妙になってきましたし、ギリシャの債務問題をきっかけに世界的な株高の方向性が転換する可能性もあり、予断を許さない状況になってきました。