ドイツ銀行破たん危機は去ったのか?

ドイツ銀行が米国司法省から巨額の賠償金をかけられていますが、一時は減額の合意が形成されたとの報道がなされ、株価が回復するかに見えました。それから一転、先日になって合意には至らなかったとの報道があり、株価は再び下落しはじめております。

ここまで株価が下がってきますと、増資による資金調達は難しい上、新たなめぼしい収益源もないなか、ドイツ銀行の株価の下落はさらに拍車がかかってしまうものとぼくは見ております。また、資金不足に陥る可能性もあるため、リストラによる経費削減を実行せざるを得ませんが、人材が流出してしまうことにより、さらに収益が悪化してしまう可能性が高いです。

ドイツ銀行の収益力が悪化してきた原因には、マイナス金利の影響などもありますが、リストラによる人員削減で優秀な人材が流出してしまったことも原因のひとつに考えられるでしょう。このような悪循環に陥りつつあるなか、他にも多数の訴訟を抱えておりますので、何かのはずみで破たんしてしまう可能性も現実味を帯びてきました。

エコノミストの多くはドイツ銀行は巨大すぎてつぶせないとのコンセンサスを形成しておりますが、巨大すぎるがゆえ、一旦坂道を転げ落ち始めると誰にも止めることができません。最終的には公的資金の注入しかありませんが、メルケル首相は否定はしているものの、いずれかの時点でこれに踏み切らざるを得ないものと思われます。

米国大統領選挙や英国のEU離脱、中国の景気減退など、世界経済へネガティブなインパクトを与える可能性が高い要素がいくつか存在しますが、このドイツ銀行の破たん問題は英国のEU離脱ともリンクしているため、EU離脱の連鎖による崩壊というワンランク上のリスクに発展する可能性があります。

そういった意味で、英国がまっさきにEUを離脱したのは、ある意味で正解だったのかもしれません。