消費税増税の延期が決定されましたが、市場では既に織込み済みの反応で、材料出尽くし感から大きく株が売られる展開となりました。期待されていた景気対策もこれといって具体的に出なかったことから、日経平均株価は一時400円を超える値下がりとなり円高も進行しています。
一方、織込み済みとはいえ、そこまで大きく値を下げるような具体的な理由も見当たりませんので、今回の下落はすぐに是正されるとの見方もあり、今後は円安と株高に振れる可能性も残されています。
けれども、今回の消費税増税の延期で日本経済の先行き不透明感は増しており、さらなる財政悪化が懸念されております。アベノミクスがうまく機能していれば、消費増税できる環境がすでに整っていたはずですが、現状を見れば、GDPや可処分所得をはじめ、各種の指標がまったくよくなってはおりません。社会保障費や税の増大、物価上昇などによってかえって庶民の生活は悪化しております。
この点について、政府は「確実によくなっている」という言葉を繰り返していましたが、庶民感覚ではまったくその実感がないだけに、政府の見解と一般庶民の実感が大幅にかい離しており、この点が日本における非常に不可解な現象ともなっておりました。政府は景気がよくなっていると言い張り、一般庶民はそんな実感などどこにもないといって平行線をたどっていた状態です。
この謎について、当ブログでもいろいろと調査しておりましたが、今回、消費税増税の延期という事実が明るみに出たことで、どうやら政府の見解がおかしかったのであろうという印象が出てきております。アベノミクスで景気がよくなっているのなら、消費税増税を実行できるはずですが、公約に掲げていたにも関わらずに延期したということは、おそらくは景気がよくなってはいないのだろうということです。
庶民にとってみれば、単純に「そりゃそうだろう。景気よくなってないもん。」ということなのですが、政府は景気がよくなっていると言い張る点に大きな混乱が生じる原因ともなっております。失敗は失敗と認め、違う方法を探るのが賢者ですが、愚か者は失敗を失敗と認めず、その間違った方法に固執してしまいます。結果として、さらに事態を悪化させてしまうことになるわけですが、これ以上どうしようもなくなる状態までこれが続いてしまうのです。
いずれにしても、最後の賭けに出たアベノミクスの失敗が明るみに出はじめた今、早急に軌道修正する必要があると感じております。