GPIFの2015年度の運用実績が公表されましたが、最終的に134兆7,475億円の運用で5兆3,098億円の損失となりました。累計では45兆4,239億円の黒字となっているため、長期的に考えれば問題ないとのことですが、果たしてこれでよいのでしょうか?
当サイトで懸念していたとおり、公務員の共済年金がプラスになっていた結果をみますと、公務員年金の運用益を上げるためにサラリーマン年金が悪用された気がして仕方がありません。
つまるところ、先に公務員年金で株を買っておき、そのあとにGPIFのサラリーマン年金を投入することで株価を吊り上げ、株価が上昇しきったところで公務員年金の株を売り抜いて利益を確定、利益確定売りが出たことでGPIFの損失が膨らむという図式だったのではないでしょうか?
そうでなければ、GPIFが損失であるのに、公務員年金がプラスの結果になるわけないです。
また、年金制度そのものについても情報公開がまったくなっていないと感じております。今回のGPIFの公表についても、例年は7月初旬時期だったものが下旬の29日に遅れて公表されましたが、選挙対策により隠されたのではないかという気がして仕方がありません。
今いくらの年金積立金が残っていて、毎年いくらの支給額が必要であり、少子高齢化で赤字による取り崩しが毎年いくら発生していて、これまでどのように推移してきたのかの情報が全く出てきていないのです。今回の発表についてみても、当初の100年安心プランでは年率4.1%の利回りが前提だったはずなのに、2.7%でよくやっている感を出しているのはおかしな話です。
加えて、我々団塊JR世代が高齢になった時、果たしてどれほどの積立金が残る試算となっているのかがまったく公表されていないのです。
100年安心プランを考えれば、取り崩しなどは言語同断、運用益も年率2.7%程度の数字ではまったく足りません。僕が試算した必要な数字は、運用資産200兆円レベルでの年率5%でとんとん、団塊JR世代に加え、ゆとりアンドさとり世代の安心プランを考えれば、最低でも年率8%程度の数字は必達目標といえます。
一説によると、2006年度末に165兆円あった積立金が2011年度末には125兆円となっていることから、5年間で40兆円の取り崩しが発生しているといわれています。その後、アベノミクスで回復はしたものの、10年後の2016年の現在での運用資産が134兆円ということは、10年間で30兆円を取り崩した結果にはならないでしょうか?
単純にこのペースでいけば、100年で300兆円の取り崩しとなり、年金積立金が-135兆円という計算になるかと思います。そしてこの不足分については、まるまる現役世代が負担することになるはずです。
今後、何らかの理由で取り崩しが必要となった場合、株を売ってその財源にあてることになるかと思いますが、売れば売るほど株価は下がりますので、運用損失はさらに増えることになります。取り崩しと運用損が重なれば、積立金が急速に減少してしまう可能性が残されており、万一、運用資産がなくなってしまえば、当然、運用による利益も発生しなくなりますので悪循環に陥ってしまいます。
おそらく、禁断のヘリマネに手を付ける以外、この状況を打開する方法は残されてはいないのではないでしょうか?今回の運用損失の結果により、ヘリコプタマネー実現の可能性が現実味を帯びてきました。