昨日発表された日銀短観の業況判断指数は幅広い業種で悪化していますが、私が特に気になったのは企業の想定為替レートです。円高は現在(2016:04:02:00:14)のところ、1ドル約111円後半で推移していますが、企業の想定為替レートである117.46円とは「6円」程度のズレが生じています。
この数字を見て愕然としてしまったのですが、一般企業は今後も117円程度、あわよくば120円以上を想定しているようなのです。
けれども、高名な学者さんは年内に1ドル50円割れを想定しておりますし、大半のネットユーザーも1ドル80円割れを想定しているなか、未だに117円を想定している日本企業は危機意識が皆無といっても過言ではありません。
当サイトでの乖離幅は最大で67円程度、標準で37円程度と見ておりますが、この円高水準における日経平均株価はおそらく8,000円前後になるものと予測しております。
非常に気になるのは、ここ数年で投入金額が拡大されたGPIFの年金資金です。
損切は既にはじまっているものと考えたいですが、本格的に拡大された投入レンジが17,000円以上だったとするならば、すでにマイナスで溶けはじめている気がしております。俗にいう"年金メルトダウン現象"と言われているものですが、GPIFが2015年度の運用実績を、今年は7月29日に半月程度延期したことも疑惑を深めております。
去年は7月10日発表だったのに、今年はなぜ7月29日なのか?
うがった見方をするならば、参議院選挙の日程はまだ未定なものの、7月10日に実施される可能性が高く、選挙前後にネガティブな数字を出すことによる批判を回避する意図があるのではないかということも考えられます。
いずれにしても、現在の為替相場と企業が想定する為替レートの間には大きなズレが生じており、このままいけば企業収益は下振れ、さらに現在よりも円高が進めば、大幅な減収・減益となる可能性が高いです。それに伴い、実質賃金のさらなる減少、消費の冷え込みによる売上減少など制御不能の悪循環ループに入ってしまう可能性があります。
為替相場の動向については、今から目が離せない展開となってきました。