2016年6月アーカイブ

赤字続きで業績が悪化し、資金難に陥っている会社が新株予約権を発行するケースがよくあります。ピンチの会社が発行した新株予約権を投資会社などに引き受けてもらい、資金を調達することで難局を乗り切るという手法になりますが、この制度が悪用されているケースが多いように感じて仕方ありません。

といいますのも、この新株予約権には行使価格が設定されており、特定の期間内であれば、それを行使してもしなくてもかまわないからです。市場での株価が行使価格よりも上がったときにだけ株を取得して、すぐに市場で売却すれば、投資会社は簡単に利益を上げることができてしまうのです。

当然、大量に株が売りに出されることで株価が下落しますし、新株発行による増資で希薄化にもつながりますので、既存株主が損失を被ることになり、一般的にはこの新株予約権のIRが出た時点で個人投資家に敬遠されて株価が下落する傾向にあります。

一方で、株価が下落してしまうと新株予約権が行使されず、資金調達ができなくなってしまうため、投資会社やその赤字会社は何とか株価を上げようとしてきます。

具体的には、実現しそうもないIRを発表し、あたかも業績の見通しが明るいニュースを発表して株価を吊り上げてくるわけですが、そのようなニュースにつられて個人投資家が株を買い、市場価格が新株予約権の行使価格よりも上がってきたところで株を取得し、すぐに売却されてしまうのです。結果として、株価が急落してしまうパターンが多い傾向にあります。

その赤字会社は新株予約権で資金調達をすることができ、また投資会社でも吊り上げた株を売却することで利益を得ることができますが、株価の急騰につられて飛び付いた個人投資家だけが損をするというパターンが多くなっているように感じています。

もちろん、資金難で倒産ということになれば、既存株主の株は紙くずに変わるわけですので、それを考えれば、新株予約権の引き受け手がいるだけでもメリットがあるのかもしれませんが、その投資会社は長期的な保有を意図したものではありません。行使価格よりも上昇すれば、すぐに大量の株が市場で売却されてしまうため、高値でつかまされた個人投資家が損失を被るというケースが非常に多くなってきています。

この新株予約権の問題点は、実現しそうもないIRニュースを連発することで株価の上昇を演出することにありますが、非常にうさんくさい内容のものが多いということです。目的は株価を吊り上げ、新株予約権を行使することにありますので、何でもいいから材料を出して個人投資家の買いを集めるというパターンが見え隠れします。

ただ、そのIRニュースの内容の真偽については誰も確かめようがありません。社長が本気で業績が回復すると見込んでいれば、それは虚偽とはいえませんので、詐欺にあたるかどうかは紙一重といえます。

一方で、従業員のモチベーションアップを目的とした新株予約権については、すぐに市場で売却される性質のものではなく、こちらは長期保有目的になります。従業員のモチベーションがアップすることで業績が改善すれば、既存株主にもメリットがあるので、この場合の新株予約権は特にデメリットはないものと思われます。

その新株予約権がどのような性質のものかを正確に見極めることが、投資する上で大切なことといえるでしょう。

英国のEU離脱から24時間が経過しましたが、各国の株価への影響は以下のようになっています。

日本:-7.92%
イギリス:-3.14%
ドイツ:-6.82%
フランス:-8.04%
米国:-3.38%

想定外となるEU離脱の結果を受け、金融市場は混乱しておりますが、具体的にどのような影響が出るのでしょうか?

まず、イギリスがEUへ輸出する際の関税が発生することにより、英国に拠点を置いていた多国籍企業の撤退が示唆されています。貿易量の減少のほか、国際的な資本が英国には流入しなくなりますし、企業の撤退により工場なども閉鎖されるため、大量の失業者が生まれることが想定されています。GDPも大幅に減少することでしょう。

加えて、連鎖的にEUを離脱する国が増えれば、その国でも同様の事態が発生することになりますので、経済活動はさらに停滞することが予測されています。

そのような状況のなか、ポンドが売られることで安全通貨といわれている円が買われることにより、円高になりますので、日本の輸出企業の業績も悪化することになります。これに伴い、日本企業の株価が下がることにより、世界同時不況に陥る可能性も出てきました。

世界的に経済活動が停滞することにより、原油への需要も低下し、最近は持ち直してきていた原油価格が再び下落することになるでしょう。そうなると、シェールオイルの採算も悪くなり、シェール企業の倒産懸念も再燃することになりかねません。

世界はリスクオフの展開をむかえることにより、今後、数年間は景気回復が見込めないとの見方が強くなってきました。

一方で、EU離脱が英国のみで留まることになれば、それほどの影響は出ないと思われます。EUが加盟各国の連鎖的な離脱を食い止めることができるかどうか、今後はこの点に焦点が移っていくことになるでしょう。

事前に残留派が有利と伝えられていた英国の国民投票ですが、開票した当初の時点では離脱派が15万票程度の差をつけてリードする展開となりました。BBCやCNNなどの主要メディアも予想外の展開との見方を強めておりましたが、開票もある程度を過ぎた頃から残留派が逆転に転じており、予断を許さない状況となっております。

有権者数は約4,650万人となっておりますので、仮に投票率を6割程度と仮定すると投票総数は2,500~3,500万票が見込まれており、概ね、3,400万票の過半数となる1,700万票程度を獲得した方が確定となる見込みです。総じて投票率は高いとの情報が伝えられており、70%近い地区も相次いでいます。

まだまだ結果は不透明な部分もありますが、為替や株価などの市場の反応を見ますと、逆転に次ぐ逆転でボラティリティーの高い展開となっており、残留派、離脱派ともにハラハラドキドキの展開をむかえることになりました。

英国BBCサイトでは、開票結果の速報がネット上でリアルタイム表示されており、開票結果に株価と為替が即時に反応しております。

概ね、都市部では残留派が多く、農村部では離脱派が多いと伝えられてますが、首都ロンドンでは雷雨による洪水があり、投票率への影響があると見られています。

万一、英国がEUから離脱する結果となると、世界経済へ与える影響は深刻になるとみられ、世界中が注目する国民投票となりました。開票結果は、日本時間の午後1時頃までには判明する予定です。

ブリティッシュ(英国)がEUからエグジット(離脱)する、いわゆる「ブレグジット」が関心を集めていますが、これを受け、世界経済はリスクオフの局面を迎えています。EU離脱を問う英国の国民投票が今月の6月23日に行われる予定ですが、世論調査では離脱派が若干リードしていることから、離脱の可能性が現実味を帯びてきています。

もし英国のEU離脱が現実となった場合、ポンドや英国株が軒並み下落することが懸念されており、リスクオフで円が買われる展開になっています。円相場は1ドル105円台へと突入しており、日経平均株価も16,000円を割れる展開となってきました。

そもそも、なぜ英国がEUを離脱したいのかというと、移民の流入により労働者が仕事を奪われる結果になっているのが大きな要因といえるでしょう。

けれども、実際に英国がEUを離脱した場合、他のEU諸国にも連鎖する可能性があり、次々に離脱する国が増えれば、欧州連合が崩壊する可能性もあります。実際に英国がEUを離脱するまでには、2年程度のタイムラグがあるといわれていますが、世界の金融市場は混乱を迎えることになるはずです。

ただ、世界経済へ与えるインパクトが大きいだけに、各国が協調して離脱を回避する流れになるかもしれません。国民投票の延期やEUによる移民問題の妥協などの可能性もあるでしょうし、あるいは実際に離脱した際の影響を最小限に抑えるための対策も欧州連合で模索されております。

米国のデフォルト問題のように、騒ぐだけ騒いで結局は何もなかったという展開も考えられますが、今回の英国のEU離脱は実際にフィフティー・フィフティーの確率となっております。

はたしてEU残留か、離脱か、どちらに振れるかが分からない展開となってきました。

消費税増税の延期が決定されましたが、市場では既に織込み済みの反応で、材料出尽くし感から大きく株が売られる展開となりました。期待されていた景気対策もこれといって具体的に出なかったことから、日経平均株価は一時400円を超える値下がりとなり円高も進行しています。

一方、織込み済みとはいえ、そこまで大きく値を下げるような具体的な理由も見当たりませんので、今回の下落はすぐに是正されるとの見方もあり、今後は円安と株高に振れる可能性も残されています。

けれども、今回の消費税増税の延期で日本経済の先行き不透明感は増しており、さらなる財政悪化が懸念されております。アベノミクスがうまく機能していれば、消費増税できる環境がすでに整っていたはずですが、現状を見れば、GDPや可処分所得をはじめ、各種の指標がまったくよくなってはおりません。社会保障費や税の増大、物価上昇などによってかえって庶民の生活は悪化しております。

この点について、政府は「確実によくなっている」という言葉を繰り返していましたが、庶民感覚ではまったくその実感がないだけに、政府の見解と一般庶民の実感が大幅にかい離しており、この点が日本における非常に不可解な現象ともなっておりました。政府は景気がよくなっていると言い張り、一般庶民はそんな実感などどこにもないといって平行線をたどっていた状態です。

この謎について、当ブログでもいろいろと調査しておりましたが、今回、消費税増税の延期という事実が明るみに出たことで、どうやら政府の見解がおかしかったのであろうという印象が出てきております。アベノミクスで景気がよくなっているのなら、消費税増税を実行できるはずですが、公約に掲げていたにも関わらずに延期したということは、おそらくは景気がよくなってはいないのだろうということです。

庶民にとってみれば、単純に「そりゃそうだろう。景気よくなってないもん。」ということなのですが、政府は景気がよくなっていると言い張る点に大きな混乱が生じる原因ともなっております。失敗は失敗と認め、違う方法を探るのが賢者ですが、愚か者は失敗を失敗と認めず、その間違った方法に固執してしまいます。結果として、さらに事態を悪化させてしまうことになるわけですが、これ以上どうしようもなくなる状態までこれが続いてしまうのです。

いずれにしても、最後の賭けに出たアベノミクスの失敗が明るみに出はじめた今、早急に軌道修正する必要があると感じております。